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心に効く最新の情報 BLOG

NEXTカウンセリングをご利用のクライアントさん(Aさん)からの依頼で、Aさんがパニック障害を発症した経緯をブログ記事にしました。この記事を見て、同じように辛い思いをしている方が手助けを得られることを願ってです。


それは、高校2年の夏、湿気を含んだ熱気がホームにこもっていた夕方のことでした。
期末試験を終え、開放感と疲労感が入り混じったまま、いつものように電車を待っていました。

最初に異変を感じたのは、胸の奥がギュッと握られるような圧迫感でした。
「なんだろう…?」と考える間もなく、息が吸いにくくなり、心臓が急に全力で走り出したように暴れ出しました。

周囲の音が遠のき、視界の端が白くかすんでいく。
「このまま倒れるかもしれない」「もしかして死んでしまうのでは…」
頭の中でそんな言葉が何度も繰り返され、足は硬直して動きません。

体は汗ばんでいるのに、手のひらだけは氷のように冷たい。
ホームに吹き抜ける風も、遠くのアナウンスも、まるでガラス越しの出来事のように感じました。
わずか数十秒の出来事だったはずなのに、私には永遠のように長く感じられました。

それが、私の人生で初めてのパニック発作でした。
何が起きたのか、どうすればよいのか、まったく分からず、ただ恐怖と混乱だけが残りました。


このときは知らなかったのですが、パニック発作を1回経験したからといって、必ずパニック障害になるわけではない、とカウンセリングを通じて知りました。
パニック発作はあくまで「単発の症状」であり、その後の捉え方や行動の仕方によって、その先の経過は大きく変わります。

あまりにも強烈な発作体験が脳に「恐怖の記憶」として刻まれ、それが「また起こるのではないか」という予期不安を生みます。
そして、その不安を避けるために電車や人混みを避けるようになり、行動範囲が狭まり、発作も増えていく。
この悪循環が続いたとき、「パニック障害」という診断に至る、そう教わりました。


私の場合、このあと数日間はただ「怖かった」という記憶が残るだけでした。
けれど、ある夜ふと不安になり、スマートフォンで「動悸 息苦しい 倒れそう」と検索しました。
そして、見慣れない言葉——「パニック障害」に出会います。

そこからは雪だるま式でした。
症状の一覧、原因、体験談、治療法…。
読み進めるうちに、そこに書かれていた他の症状——急な汗、喉の詰まり、非現実感——を、自分の体にも探すようになっていました

「今ちょっと呼吸が浅い…これはまた始まるサイン?」
「喉が重い感じがする…もしかして…」

いつの間にか、体の小さな変化を24時間気にするようになり、以前は何ともなかった映画館やカフェに行くのもためらうようになりました。
症状を理解しようとする行動が、かえって不安を大きくし、生活の範囲を狭めていったのです。


あの日、ホームで突然襲われた発作は、私の世界を一瞬で変えてしまいました。
しかし、パニック発作は必ずしもパニック障害に直結するわけではありません。
その後どう行動するか、どんな情報を取り込むかによって、未来は変わります。私のパニックが良くなったように。

今思えば、一番大切だったのは「体験を必要以上に気にしないこと」でした。
パニックは、恐怖そのものよりも、「恐怖を恐れる心」が広げてしまうのだと思います。


パニック障害は、日常生活に大きく支障をもたらし、ともすれば人生自体を左右させる問題です。パニックは大きく改善が可能な問題です。すでに悩んでいる方も、まだ悩んでいないけど心当たりがある方は、できるだけ早く専門家に相談すると良いでしょう。

なお本人が特定されないよう、上記体験談に含まれる個人を特定する情報や状況は変更されています。