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心に効く最新の情報 BLOG

私(Taka心理学博士)の体験です。留学時代のことでした。自転車に乗ってスーパーに向かっている最中に、急に不穏な気持ちになり始め、体に力が入らない感覚、冷や汗、ドキドキ、焦燥感、ふらつきなどの感覚が生じてきました。フラフラな状態ですが、なんとかスーパーまで辿り着いてベンチで30分程度少し休むと、だんだんと身体に起きていた症状が回復し、予定通り買い物をすることができました。

メンタルの問題に関しては、診断書がこの業界にはあります。その診断書を参照すると、パニック発作の定義は、以下のリストの4つ以上の症状を含むこととされています。


  • 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震いまたは震え
  • 息切れ感または息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸部不快感
  • 嘔気または腹部の不快感
  • めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
  • 現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分が自分でない感じ)
  • コントロールを失うのではないか、または気が狂うのではないかという恐怖
  • 死ぬのではないかという恐怖
  • 異常感覚(感覚まひまたはうずき感)
  • 冷感または熱感  (DSMより)

私の体験には上記の4つ以上が含まれていました。では、私はパニック発作を体験したということになるのでしょうか。実はそういうことではありません。私が体験したのは、カフェイン誘発性の不安、つまり単なるコーヒーの飲み過ぎで起きたことでした。その不安と、パニック発作が決定的に違うのが「恐怖感」です。私の不安には、恐怖感がなかったのです。

発作の理由

コーヒーの飲み過ぎでパニック発作のような症状が出たケースでは、これらの症状が現れ始めた時に、私にはなぜこのような症状が現れたかに関する「思い当たる節」がありました。もちろん、コーヒーです。症状の説明として、明確に「これはコーヒーの飲み過ぎのせいだ」と考えることができたのです。すると、身体の症状は不快であっても、それらは怖くありません。それらがずっと続かない、あるいは悪化していかないことが分かっているからです。

パニック発作は、少なくとも初めて体験するときは、大抵思いもよらない形で現れます。だから、それに関して「思い当たる節」はないケースがほとんどです。「ああ、これは夫との関係がうまくいっていなくて、昨日の喧嘩の際、十分に言いたいことが言えなかったための怒りが私にあるためだな」などとは、初めて発作が起きた時には誰も思わないのです。

このように、起きている事象に対して「説明ができるかできないか」で、その後の体験が異なってきます。これは何もパニック発作にだけ言えることではありません。例えば、自分の銀行口座から説明のできない引き落としがあったとしたら、漠然とした不安を感じます。ともすれば、色々と考えすぎて、色々なものに不安になってしまうかもしれません。一方で、その引き落としが「あの時ネットであのものを購入したやつだ」と説明できれば不安はありません。

効果的なパニック治療

不安になる理由が、発作体験に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。これに対して、精神医療や臨床心理学では説明を提供するのですが、それらがイマイチしっくりこないことは、パニックに悩む方であれば明確です。

  • セロトニンが不足しているので発作が起きます。それを補う薬を処方しましょう。
  • 胎児の時のトラウマ体験が思い出されることが発作体験です。トラウマを解決しましょう。
  • 苦手な状況を避ける行為が不安を悪化させます。暴露療法で避けることをやめていきましょう。

どれも、筋が通っている考えではありますが、実体験を持って理解できない(上2つ)、あるいは的が外れている(下)説明で、どうして発作が起きるのか十分に納得できるものではありません。ここがポイントです。発作の理由を、観察や現実の検証から理解できるものを提供するのが、効果的なパニック治療となります。理由が納得できれば、説明がつくので怖さがなくなるからです。

パニック発作では納得できる理由がない

話題から脱線しましたが、元に戻りたいと思います。冒頭の私の体験とパニック発作は何が違うのでしょう。違いは、恐怖感であり、恐怖感を作り出している「発作の理由」です。方や、コーヒーの飲み過ぎであり、方や理由がわからない体験です。パニック発作は、その理由をうまく説明できないため、恐怖を呼び起こす体験となります。よって、納得した理由を提供することが効果的な治療には必要だし、それはパニックに悩む人が、実感を持って理解できる理由である必要があります。

NEXTカウンセリングでは、このような考え方に基づいた「レニハン認知療法」を治療に取り入れています。この方法を用いることで、90%程度の方は「発作0」(発作が起きそうな状況を積極的に避けるわけではない)になる、あるいはそれに近づく体験をして頂いています。

まとめ

本記事では、パニック発作とそうでないものの違いについて説明をしました。パニック発作とコーヒーの飲み過ぎによる不安の違いは、恐怖感であり、パニックが起きる理由にあります。パニック発作では、発作の理由を説明できないため、怖さが生じるのです。効果的な治療は、その理由を提供するものとなります。