「Medical News Today」月に8500万ものアクセス数を誇るメンタルヘルス・ケア系のサイトです。今回はここで紹介されていた、パニック発作を対処する方法についてご紹介し、解説をしていきたいと思います。
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以下記事「How can you stop panic attack?」の内容をご紹介します。本記事では、13の対処法うち、半分の方法を簡単に紹介したいと思います。パニック発作への対処のゴールはコントロール感を取り戻すことです。コントロール感を取り戻せれば、その後は徐々に嫌な症状も軽減していくことになります。それぞれの紹介の後に、私の解説を加えていきたいと思います。

1 発作は過ぎ去ることを思い出す
発作は10分程度で治ります。その後に全ての症状が軽減していきます。それを思い出すこと、また発作によって後遺症が残るなどのことはないことを思い出すことは、とても役立ちます。
解説:シンプルなようですが、これが基本です。発作は、身体で言うと、闘争逃走反応の極限であり、それが生じているときは、何も考えられません。何かを思い出すこともできません。そして何か別のことを意識できるようになると、今体験していることを客観的にみることができます。そこがコントロール感を取り戻すスタート地点です。そういった意味で「発作は過ぎ去ると思い出す」を心に留めておくことは、立派で有効な対処法となります。
2 深呼吸をする
パニック発作時は、呼吸が浅く早くなることがしばしばです。そういった呼吸が生じている最中で意図的に深呼吸をすることは、パニック発作を止めることに役立ちます。
解説:パニック発作は、自分の非日常的な身体感情体験に焦ることで持続するものです。パニック発作の症状の1つを意図的に変えることで(しばらく続けることで)客観的に自分の体験を見ることができるようになり、また症状の1つを変えることにより、コントロール感を取り戻すことができます。
3 ラベンダーの香りを嗅ぐ
ラベンダーの香りを嗅ぐことで、不安の軽減が生じることは、いくつかの研究で示されています。ボトルのまま使用しても良いし、ハンカチなどにたらして使うのも良いでしょう。もしラベンダーの香りが合わないと言う方は、別の香り(例えばベルガモット、カモミール、またはレモンなど)を使っても良いでしょう。
解説:香りで不安軽減の効果が期待できるのは、嗅覚に敏感な人にとっては、とても良い方法であると言えます。全ての方法に通じて言えることが、ある程度「やろう」と思って、それに集中し、継続することです。一瞬で発作が止まる、楽になると思ってやってしまうと「効かなかった」と残念になるばかりでなく、焦りのため症状の悪化も否めません。十分に時間をかけて(ラベンダーを嗅ぐ場合でしたら1分間は、直接嗅ぐのと余韻を味わうのを何度か繰り返す)実施することを心がけましょう。
4 静かで落ち着く場所を見つける
発作が起きているときは、外からの刺激にも敏感に反応しがちであるので、発作の持続につながります。視覚と聴覚的に、刺激の少ない場所に移動することで、落ち着きを取り戻しやすくなるでしょう。
解説:これも非常に有効な対処法と言えるでしょう。日本人の場合は、特に人の存在で症状が左右されることがしばしばです。もし、人の存在があることで、さらに焦りが出る(変にみられていないだろうかなど)場合は、人気の少ないところに移動することが良いでしょう。電車の中など、パニック発作が出やすいが移動する術がない場所などは、可能であれば、それでも人が少ない車両への移動が望ましいです。
5 何かに集中する(気を逸らす)
発作が起きているときに、何かに集中することは役立ちます。例えば、その場にある何かしらの物をじっくりと眺める(文字があれば読む)など、そこへのフォーカスが高まれば高まるほど、発作の症状が軽減します。視覚以外にも、聴覚(聞こえる物)やその他の感覚に注意を向けることは、役立つことでしょう。
解説:パニック発作が起きているときは、何も考えられない瞬間が多いですが、そうでなく「こうしよう」と思える瞬間もあります。その時に、見えるもの、聞こえるもの、感じられるものに意識を集めることは、とても効果的です。「別のことを考える」とおっしゃる方がよくいますが、概念はパニック症状に左右されがちなので、考えよりも、実体験(見る、聞く、感じるなど)への集中の方が良いでしょう。スマホで動画を見る。音楽を聴く、などは多くのパニックに悩む方が自ら編み出して実施していることが多い対処法です。
6 54321法を実施する
54321法は現実感を取り戻す方法です。少し複雑ですが、練習を予めしておいて、発作時に思い出せれば、とても有効な方法となるでしょう。まず周囲にある5つのものを見ます(視覚)。次に4つの音を聞きます(聴覚)。さらに3つのものを触ります(触れても良いものにしてください)。そして2つの匂いを嗅ぎます。最後に1つの味を味わいます。
解説:覚えるのに時間がかかりますが、これを1クールか2クール実施すれば、コントロール感を取り戻すことに大きく役立つでしょう。例を挙げます。電車の中で発作が起きた際に、目に見えるものを5つ認めます。例えば、吊り革(1)電車の窓の枠(2)自分の靴(3)自分の腕(4)電車の手すり(5)を認めます。そして電車が揺れるう音(1)自分の咳払いの音(2)誰かの会話(3)車両と車両の連結部分から生じる音(4)を聞きます。その後、(自分の)ポケットの中の鍵(1)(自分の)顔(2)(自分の)ハンカチに触れます。そして社内の匂い(1)(自分の)服の匂い(2)を嗅ぎ、最後にメントスを舐めて味を確かめる、などです。
まとめ
本記事をまとめます。本記事では、欧米の有名サイトからパニックを止める方法の1〜6までをご紹介しました。全ての方法に共通することは、コントロール感を取り戻すことをゴールとすることです。それを目的とし、予め発作は過ぎ去ると言い聞かせたり(1)、呼吸(2)や嗅覚(3)に働きかけたり、場所の移動(4)や気を逸らす(5)こと、多くの感覚に作用することを意図した方法(6)をご紹介しました。ぜひ役立ててみてください。