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心に効く最新の情報 BLOG

トラウマにはいくつかの分類がありますが、心のケアでよく用いられている分類が次の3つです。

  1. 単回性トラウマ(一回の大きな事象:事故・災害・突然の恐怖体験)
  2. 複雑性トラウマ(繰り返された事象:虐待・継続的な暴力・動揺する家庭環境)
  3. 発達性トラウマ(複雑性の中で特に幼少期の事象:不適切な養育・情緒的な不足)

「自分の苦しみはどれに当てはまるのだろう?」
そう思いながら読んでみてください。


1. 単回性トラウマ:突然の衝撃が心身に残る

事故、自然災害、急な病気、強烈な恐怖を伴う出来事など、
一度のショック体験が心に傷を残すのが単回性トラウマです。

特徴としては、

  • 発生時期や原因がはっきりしている
  • フラッシュバック(再体験)や回避(関連するものを避ける)が起こりやすい
  • 身体が「危険が続いている」と勘違いし、過覚醒になりやすい

一方で、早期の支援によって回復が進みやすいという側面もあります。

私の臨床でも、明確な単回性トラウマの場合、ブレインスポッティングなどの介入により早期に改善するケースが多くみられます。
「恐怖体験そのもの」が心身に刻まれ、その後の反応(再体験・回避)を誘発しているためです。


2. 複雑性トラウマ:繰り返しの傷が心の構造に影響する

虐待、家庭内暴力、感情的支配、支援者不在の環境など、
継続的なストレス・恐怖・支配・孤立が繰り返される状況で形成されます。

特徴としては、

  • トラウマの時期・出来事が複数あり、境界が曖昧
  • 自己否定、慢性的な不安、恥、罪悪感が根深く残る
  • 対人関係で混乱や苦痛が生じやすい
  • 「普通の環境でも緊張する」「安心の仕方がわからない」などの長期的な影響

単回性トラウマが点の傷だとしたら複雑性トラウマは線あるいは面として積み重なった傷です。

そしてもう一つ重要なのは、その人の「性格」にまで影響を受けていることが多いという点です。単純な怖い出来事としてではなく、「ものの見方」「自分の価値」「人への信頼」と密接に結びつきます。


3. 発達性トラウマ:育ちの環境で形作られる深い傷

生まれてから成長期にかけて、

  • 十分に抱いてもらえなかった
  • 叩かれた、怒鳴られた
  • 無視された
  • 親が不安定だった
  • 家庭が安全ではなかった

といった適切な養育の欠如によって生じるのが、発達性トラウマです。愛情不足という表現がよく使われますが、それだけではなく、家庭内の劣悪な環境全てが含まれます。

特徴として、

  • 「自分は価値がない」という核の感覚が形成されやすい
  • 他者との境界が弱い/逆に強すぎる
  • 感情の調整が難しい
  • 親密さが怖い、あるいは極端に求めすぎる
  • 生涯にわたり対人関係に影響が残りやすい

単回性・複雑性のトラウマと異なり、「いつから傷ついていたのか分からない」という方が多くいます。

なぜなら、傷ついた状態がその人の標準(デフォルト)として形成されてしまうからです。これが発達性トラウマのいちばん深いところでもあります。


トラウマの種類は「原因」だけでなく「影響の出方」を理解する手がかりになる

多くの人は、苦しみの理由が分からずに長年悩みます。
「何が原因か分からない」
「性格の問題だと思っていた」
「弱いからだと思っていた」

しかし実際は、心の反応はとても筋が通っていることが多いのです。

たとえば…

  • 急にフラッシュバックする → 単回性トラウマの再体験
  • 人を怖く感じる/関係がうまくいかない → 複雑性トラウマ
  • いつも自分を責めてしまう → 発達性トラウマの影響

このように、「自分の苦しみがどの種類に近いのか」を整理するだけで、苦しみとその原因がより明確になるため、回復の方向性が見えやすくなります。


何をすれば回復に向かうのか

結論から言うと、安全な関係性の中で問題になり組むことがとても重要です。

NEXTカウンセリングでは、安全な関係性を築きながら進める統合的アプローチ、を採用しています。いずれの分類のトラウマであっても、安全性は必須です。現代では、いろいろな「技法」(NEXTカウンセリングではブレインスポッティングやTIPモデルなど、特定の方法)があふれていますが、トラウマ問題に対しては、安全性を促すことが効果の最も大きなポイントとなります。安全性がないと、根付いた回避の傾向(行動だけでなく頭の中で避けたり無意識に壁を作ったり)を消去して、問題に取り組むということが困難だからです。


まとめ

本記事では、トラウマを理解する重要な3つの枠組み単回性・複雑性・発達性についてお伝えしました。

  • 単回性は「突然の強い恐怖」が中心
  • 複雑性は「繰り返されるストレス」が心の構造に影響
  • 発達性は「育ちの環境」が自己感や対人関係に深く影響

あなたの苦しみには、必ず理由があります。そしてその理由が整理されたとき、ようやく回復の道のりが見えてきます。

NEXTカウンセリングでは、臨床経験の積み重ねや、科学的に示唆される根拠から、トラウマ問題に本当に適した支援を提供しています。

「整理する」ことが、回復の第一歩です。あなたが安心して歩み始められることを願っています。