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トラウマ・インフォームド・ケアという考え方

カウンセリングを受けた方がいいのだろうか。そう迷うとき、多くの人は「自分に問題があるのではないか」と感じています。ですが、近年の心理支援では、少し違った見方が大切にされています。それがトラウマ・インフォームド・ケア(Trauma-Informed Care: TIC)という考え方です。このアプローチでは、こう問いかけます。「何が問題なのか?」ではなく、「これまでに何があったのか?」

「つらさ」には理由がある

不安になりやすい、人との距離感が難しい、感情が強く出たり、逆に感じにくかったりする。

こうした状態は、「性格」や「弱さ」と思われがちです。しかし実際には、これまでの体験の中で身についた自然な反応であることが少なくありません。たとえば、安心できない環境に長くいた場合、
常に周囲に気を配ることや、自分を守るために感情を抑えることは、とても大切な力だったはずです。

つまり、今感じている困難は、これまでを生き抜くために必要だった反応の延長とも言えます。

カウンセリングで大切にされること

トラウマ・インフォームド・ケアの視点では、カウンセリングは「何かを正す場所」ではありません。まず大切にされるのは、次のようなことです。

  • 安心して話せること
  • 否定されないこと
  • 自分のペースが尊重されること

特に「安心できる」という感覚はとても重要です。人は安心できてはじめて、自分のことを振り返ったり、新しい感じ方を試したりできるようになります

無理に話さなくてもいい

カウンセリングというと、「つらい過去を話さなければいけない」と思う方も多いかもしれません。ですが実際には、話したいことだけを、話せる範囲で話せば大丈夫です。

  • うまく言葉にならない
  • 何から話せばいいかわからない
  • そもそも話すべきか迷っている

こうした状態も、そのまま扱っていくのがカウンセリングです。

受けるかどうか迷っているということ

迷っているということ自体、「今のままでいいのだろうか」と感じているサインでもあります。

一方で「本当に必要なのか分からない」「話して何か変わるのか不安」「自分には大げさな気がする」など感じるのも、とても自然なことです。カウンセリングは、必ず受けなければいけないものではありません。ただ、「一度話してみる」という選択肢を持つこともできます。

まとめ

カウンセリングは、「問題のある人が行く場所」ではありません。これまでの体験の中で身についた反応を理解し、少しずつ楽になるための場です。

トラウマ・インフォームド・ケアの考え方では、あなたの感じていることや反応には、必ず理由があると考えます。もし迷っているのであれば、「変わらなければいけない」ではなく「少し安心できる場所があるか試してみる」くらいの気持ちで考えてみてもよいかもしれません。

参考文献

Substance Abuse and Mental Health Services Administration (2014). SAMHSA’s Concept of Trauma and Guidance for a Trauma-Informed Approach.

Harris, M., & Fallot, R. D. (2001). Using Trauma Theory to Design Service Systems. Jossey-Bass.

van der Kolk, B. A. (2014). The Body Keeps the Score. Viking.