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駅のホームで一人立ち止まったときのこと

駅のホームで一人立ち止まっていたときのことです。突然、胸の奥がざわざわとし、息苦しくなりました。「こんな自分は弱い」と頭の中で繰り返し思ってしまったのです。日常のちょっとした出来事でも、自分を責める声が勝手に湧き上がってくる。そんな経験は、多くの人が抱えているかもしれません。

自己否定を繰り返す心の動き

「自分は弱い」と感じるとき、人は自分の価値を過小評価し、失敗や欠点ばかりに意識が向きます。しかし、この反応は単なる自己批判ではなく、心理学的には一種の「防衛反応」と考えられています。自己否定をすることで、痛みや不安の原因を外界ではなく、自分自身に向ける傾向があるのです。

研究からみる自己否定と心理的柔軟性

心理学の研究では、自己否定が強い人ほど、不安やストレスに対する心理的柔軟性が低い傾向があることが示されています(Kashdan & Rottenberg, 2010)。心理的柔軟性とは、辛い感情や思考をそのまま受け入れながらも、自分の価値に沿った行動を選択できる能力です。自己否定が強い状態では、感情に振り回されやすく、思考の偏りから抜け出しにくくなります。

自己否定との向き合い方

では、「自分は弱い」と感じたとき、どのように向き合えばよいのでしょうか。ポイントは、感情と自分を切り離して観察することです。具体的には次のような視点が有効です。

  • 感情をラベル付けする
    「今、自己否定の気持ちが湧いている」と言葉にすることで、感情と自己を分けて認識できます。
  • 自己否定は思考のひとつに過ぎないと理解する
    「自分は弱い」と思うことは、事実ではなく一つの心の反応です。この認識だけでも、感情の力を和らげることができます。
  • 小さな行動を選択する
    自己否定に押しつぶされそうなときは、完璧でなくても構いません。小さな行動や選択を積み重ねることが、心理的柔軟性を育む第一歩です。

まとめ

本記事では、「こんな自分は弱い」と自己否定を感じたときに、どのように向き合うかについてお話ししました。自己否定の感情は誰もが持つ自然な反応です。しかし、それに振り回されるのではなく、「思考の一部」として観察し、行動に意識を向けることで、少しずつ心は柔らかくなっていきます。弱さを認めることは、決して恥ずかしいことではなく、自分らしく生きるための第一歩なのです。

参考文献:
Kashdan, T.B., & Rottenberg, J. (2010). Psychological flexibility as a fundamental aspect of health. Clinical Psychology Review, 30(7), 865-878.